―Something evil's over you
Comin' from the sky above...

 瓦礫と化した建物の山に腰かけ、1人のトランスフォーマーは息をついた。
 白いボディに黒の頭部の左右には動物の耳のような突起物がある。
 水色のバイザーは決してアイを見せない。
 ボディと同じ白い口元には黒い汚れがついている。
 ごしっ、とこすりとった手を見るが、元々が黒いため取れたかは分からない。
 苦笑してまたトランスフォーマーは口ずさむ。

―We hope to piace.
Not their one to all as...
End war...

 いつ終わるとも知れない戦いにまた息を吐く。
 このまま、死んでいくしかないのか。
 そう思う日は何度もあった。向こうはバラけているように見えてまとまったひとつの部隊。
 対してこちらはどうだ? バラバラでまとまったところはない。それはそれで、弱いところがないが、強いところもない。
 これでは倒すことなどムリだろう。

―It's judgment day and now we've made our stand And...

(まとめるリーダーがいればいいのか)
 戦士としての技量、指揮官としての能力、作戦への頭脳。それら全てに秀でた人物。
(俺の知ってるなかじゃ、プロールかな?)
 彼のグループは最低でも少数の死者しか出さない。それでも死者がでるのはあちらが強いからか。
 歌を口ずさみながら、トランスフォーマーは歩き出す。
 そろそろエネルギーを補給せねばならない。
 トランスフォームし、悪路を走って行く。

―Something evil's over you Comin' from the sky above And there's nothing you can do.
We hope to piace. Not their one to all us... End War...

 エネルギー補給を済ませると、リーダーだと思える本人を見かけた。
 近づき、声をかける。
「やあ」
「マイスター!」
 久しぶりだな、と笑いかけてくる。
「元気そうで何よりだ。今はどこにいるんだい?」
「そのことなんだが…」
「ん?」
 マイスターは、言いにくそうに俯くプロールに首を傾げた。
「実は今、サイバトロンを1つにまとめる活動をしているんだ」
「へえ。それは興味深いな」
 キッと顔をあげ、マイスターを見ながらプロールは続ける。
「私達のリーダーとなるべき人が現れたんだよ。今は私と、ラチェットだけしかいないが…」
「君がリーダーじゃないのかい?」
 とんでもない、とプロールは首をふる。
「マイスター、よければ私達のグループに入らないか?」
 断る理由などなかった。
 己の考えと同じ風に考える、全く知らないリーダーに会ってみたい、という好奇心もある。
「君やマッドドクターが認めたんなら、俺に反対する気はないよ」
 微笑むとつられたようにプロールも笑う。

−Until our darknest hour when the light will save us all!

 理想のリーダー像そのまま、マイスターは『彼』の指揮下へと入った。

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 Song by.LION"Transformers(Theme)" and My The lyrics.