3体の中で背が高く、めずらしいマスクフェイスに見たことのないボディ。力強さが、そこにはあった。しかし、見た目だけでは分からない。
 しばらくバンブルは3体の会話を聞いていたが、だんだんと眠たくなってくる。
 敵ならばひとつもこぼさないように集中するが、味方ならばそれほど重要でもない。性格を把握すれば大抵付き合い方が分かってくる。だからだ。
 何時間、いや何分ほどそこにいただろうか。
 基地内が慌しくなり、ドタドタと足音が響く。
 何事かと、入ってきた時のように誰にも見つからないよう、バンブルは外に出て物陰に身を潜めた。
 そこにはデストロンと戦っているサイバトロン戦士達が。
 状況的には五分五分。
(早く基地に帰らないと…!)
 バンブルの考えに従う、というミニボット達が彼の帰りを待っているはずだ。そしてこの状況下を知らないはず。
 この基地との距離は爆音など一切聞こえない場所にあるほど遠い。
 何も知らずに来ては、命が危ない。
「うわあぁっ!?」
 駆け出した瞬間、バンブルは爆風に吹き飛ばされた。
「あいてて…」
 上半身を起こし、後頭部をさする。だが、何かが彼にかぶさった。瞬間、土煙が舞う。
 砂埃が収まる頃、バンブルにかぶさったものが遠のいていく。バンブルはそれにあわせて地面へ座り込む。
「大丈夫か?」
 バンブルが振り向くと彼は大きなアイをさらに大きくさせた。
 青い頭部に左右には長さの違うアンテナが2本ずつある。赤いボディに白銀のマスクフェイス。
 大型サイズのサイバトロンの中でも、さらに大型のサイバトロン。
 コンボイ、と呼ばれるトランスフォーマーがそこに片足立ちでいた。
「あ…はい」
「そうか。よかった」
 思わず敬語で答えてしまったが、気にすることもなくコンボイは返事し立ち上がる。そして黒い銃を構え遠くへ発砲。一連の動作に無駄な動きは一切ない。
「黄色い影はやはり君だったか」
 やっぱりバレてた、とバンブルは苦笑して後頭部をかく。
「それじゃあ私はみんなの無事を確認しなくてはならないから、これで失礼するよ」
 そう言ってコンボイは立ち去った。彼の姿が見えなくなっても、バンブルは赤い背を見続けていた。


「よろしく頼む、バンブル」
「はい、コンボイ司令官!」

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