隣に座ったトランスフォーマーを、バイザーの奥のアイに認めマイスターはグラスをあおる。
 コトリ、とグラスが置かれた。飲みかけのものとたった今入ったばかりの2つ、
「おまえさんのことだ。情報解析はもう済んだんだろ?」
 相手は答えず、グラスを手に取る。
「どうだった?」
 氷のみが入ったグラスがテーブルの上に置かれた。
「…全データヲ解析シテミタトコロ、」
 強めのエフェクトがかかった、単調な口調で相手は話し出す。
「オレハアノ方ニ着イテ行クコトニシタ」
 マイスターは何も言わず、笑みを浮かべてずっと相手を見続ける。話した相手も何も言わない。
 バーの静けさが、静寂という音楽が2体を包む。
 氷がゆっくりと溶けていく。
 先に口を開いたのはマイスターだ。
「じゃあ俺とは敵同士だな」
 微笑みながら、決して視線を逸らさない彼に相手は自らのマスクを近づけた。
 マスクを離すと、立ち上がり紅のバイザーにマイスターを映す。
「手加減ハシナイ」
 感情のない、無機質な声でそう言う。水色のバイザーに相手を映す

「こっちもな」
 バーン、と人差し指で撃つ真似をする。動揺も見せず、相手は彼に背を向けて去っていく。
 姿が見えなくなるまでずっと、マイスターは彼の背を見続けていた。


 Next see you again in the Battle field.
 (今度会うのは戦場で)

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