デストロンがまた発電所を襲った。切り立った崖の中、旧ジェットロン達から攻撃を受けるサイバトロン。
唯一ミニボットの中で飛べるパワーグライドが応戦するが、多勢に無勢。駆けつけたアダムスも撃墜されてしまう。コンボイもメガトロンに向かって飛びかかろうとして、足を踏み外すという司令官らしくないことに。
「はっはー、これで終わりだ!」
高らかに笑い、スタースクリームが崖を切り崩す。顔を覆うようにするサイバトロン。しかし岩は小石サイズに砕かれ、生き埋めになることはなかった。
ゴオッとエンジンを吹かす白い巨体。赤いバーナーとジェットパックがコントラストを際立たせている。
水色と紫色のF-15が、銃を放つが、巨体は紙一重で交わす。そして撃墜していく。
しゅっ、と目の前に赤色のF-15が現れるも巨体は旋回し、上昇。そこから一気に赤色の機体目がけて下降する。
「うわあっ!!」
避けきれず、F-15は巨体と共に落下した。
金属と金属がぶつかる音が響くなか、ロボットモードへとなったスタースクリームは頭部を押さえながら上半身を起こした。
「いてて…。ったく、相変わらず無茶しやがる」
白い巨体をゆっくりと起こし、スカイファイアーは苦笑した。
「ごめん。大丈夫かい?」
立ち上がり、手を差し出すがスタースクリームは取らない。代わりに、両腕の小銃を向ける。
「油断させようたってそうはいかないぜ? 第一、お前は分かってるのか?」
「分かってるつもりだよ」
「はっ、本当かよ? 飛べない奴らがここまで助けに来るとか思ってんのか? 元探求者の名が泣くぜ」
ぐるりとスカイファイアーは周りを見渡し、ここが林の中だと今理解した。とにかく仲間達に迷惑がかからないように離れた場所へ、と突っ込んだため場所を確認していなかったのだ。そしてあの場所からここまでは2、3メートルは離れているだろう。
「うーん。でも私は迷いなく君を撃てるし、危機は回避できるよ」
「この至近距離で外すと思ってんのか? おめでたい奴だ」
「相殺すれば問題ない。それに…」
「っおい!」
スカイファイアーはそっとスタースクリームを引き寄せ、抱きしめた。
浅黒い顔が赤みを帯びていく。
「こうすれば撃てないだろう?」
「バカ野郎!!」
何を考えてるんだ、と叫ぶ声に林の木々がざわめく。
そして――それに交わる機械音。
2体は聴覚機関にそれを捕らえていた。が、スカイファイアーは腕の力を弱めない。
水色の目(アイ)を細め見えない敵を睨みつける。
林の中に姿を隠す監視役。誰の命令かは大体見当がつく。そしてそれがただの認知とも情報収集とも違う感情だということも。
「おまっ…はやく離せ…!」
両手を胸に当て押し返すが、回された腕の力が弱まることはない。
「…保護者にはまだまだ認められてないのかな。それとも…」
「…知るわけないだろ」
そうスタースクリームが吐き捨てたと同時にスカイファイアーは腕の力を抜いた。
F-15が飛び去り、その後に黄色と黒の鳥が飛んで行く。
空を見上げ、スカイファイアーはビークルモードへと変形し、ドンパチしているだろう仲間の元へと向かった。
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