ギガロニアに向かう前に、プライマスの中――セイバートロン星の中に入って来た者がいる。
 スカイドームからあまり離れてはいない、地下へとつづくパーセージを通り、立入禁止のランプが光る部屋へ。
 部屋の中には白黄色に光るものが頭上で動いている。
<来たか…>
 ガシャリと肩膝を立てて座る。
 幅広い肩はやや内側に丸みをおび、背にはマントのように広がるパーツと水色の剣を背負い、両腕にはアーマーがついており、胸の中央には水晶が埋め込まれ歯車が見えている。赤紫の額に体全体には唐草に似た金色の模様が描かれていた。
「では、プライマス。行って参ります」
 低めでややエフェクトのかかった声が光に向かって言った。
<…ベクタープライム>
 中性的な声が名前を呼び、ベクタープライムは顔を上げた。
<貴方には…色々と動いて貰いましたね>
 宇宙(そと)にいる時とは全く別の口調でプライマスは言った。
<此処は私に任せて貴方達は専念して下さい。ひとつ…気掛かりですが>
「…何を、でしょう」
<時空(とき)の流れで貴方は知ったでしょう。“彼”の存在を>
「……」
 哀しさの混じった声でプライマスは続ける。
<“彼”はいないはず。しかし、存在(いる)ような気がしてならないのです>
 存在しないから時空の破壊者がいるのに。
「プライマス…私と貴方は一心同体。ギガロニアに行けば答えは見つかるかと」
<……>
「サイバトロンとデストロンの顔を持つ者がいます。彼を見た時、私は何か底知れぬ力を感じました。…過去に、2つの顔を持つ者の存在を私は知っています」
<それは…>
「この力は貴方が私に下さったもの。私に色々な事を学ばせるために。ご安心を、私は責めているのではありません。感謝しているのです」
<ベクタープライム。貴方は何を学んだのですか>
 立ち上がり、ベクタープライムは一礼した。
「『生命(いのち)』を」
 数秒の沈黙が流れた。1番学んで欲しいことを彼は学んで来た。望んでいた事を。
「では、時間が迫っておりますので…」
 金属の足音が一つ鳴る。ドアが音を立てて開く。
<……ベクタープライム>
「はい?」
<…貴方の力は時間を移動するだけではありません。巻き戻す力…それを使う場合は…>
「……我が心、神と共にあり……行ってきます、――…」
 小さく、剣を携えたロボットは呟き退室した。残されたのはスパーク姿のプライマスのみ。
 顔をかえないがプライマスは何ともいいようのない感情を抱えていた。ベクタープライムと自分は正に一心同体の存在だ。何故なら彼は――……。
 戦艦ムーが出航したのを見届けながら、プライマスは時の破壊者に銃口を向けた。少しでも、進行を遅らせるために。


 例え悲しみが来たとしても嘆く事はない。
 主は神、主は父。
 神は、父なのだ。



To Be Contnued GALAXY FORCE-45-...?

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