太陽内――。
1人の少年が目の前に立つと、ショックフリートは片膝をついて頭を下げた。
「外出したい。父君の許可は取っている」
「ハッ」
戦艦に変形し、少年はその上に乗る。
灼熱の惑星から一機の戦艦が現れたが誰も気づかなかった。
(あれは……?)
宇宙に漂う光の玉。少年はそれを手に取り、目的なく軽く辺りを飛び、再び太陽へ変形したショックフリートを向かわせた。
帰ってきた事を少年は伝えに、奥の方へと向かった。
「只今戻りました。……それと、これを」
漂っていた光の玉を玉座に座る父親に手渡す。
「……どこで見つけたのだ」
外宇宙を散歩していた時にと少年は正直に答えた。
「ナイトスクリーム」
「お呼びでしょうか」
スッ、と姿を玉座の右隣に現す。
「このスパークをお前の部屋に置いておけ。姿を成したなら儂の前に来るよう命じるのだ」
「はっ。仰せの通りに」
また姿を消すナイトスクリーム。少年はただジッと見ているだけだった。
「父君、あの光玉(こうぎょく)はやはりスパークでしたか」
「ああ。上手く行けばお前の部下になるやもしれんな」
不適な笑みを浮かべる。
「私の、部下に……ですか?」
数日後、ナイトスクリームは自分の形状に似た少年を連れて玉座に現れた。
「ほう……」
玉座の主は感心したように頷いた。
「貴様には名があるか?」
「……スタースクリーム」
少年は低い声で応えた。
「フム……ヤツの名を持つ、か……。ナイトスクリーム、”マスター”を呼んで来い」
数分もしない内にナイトスクリームは“マスター”と呼ばれた少年を連れて現れ、玉座に座る主の前で片膝をついた。
少年も片膝をつく。
「スタースクリームよ、我が世継ぎ・マスターの右腕として修行せよ。ナイトスクリーム、その役目をお前に与える」
「ハッ」
「マスター、貴様が成長した暁には貴様はデストロンの新破壊大帝となり、地上にいるサイバトロン共を一掃せよ」
「了解」
「その際にこのスタースクリーム、そしてサンダークラッカーを引き連れるのだ。忌々しいサイバトロンを倒し、この宇宙を支配する。それが儂の望むデストロンの世界だ」
高笑いが玉座に響く。
部屋に戻る途中、少年はナイトスクリームへと問いかける。
「私は父君の跡を継げるのでしょうか」
「疑問に思ってはならない。お前はあの人の前名を与えられているのだ」
マスターの問いにナイトスクリームはそう答えた。
簡潔かつ絶対であると。
「その為にお前は強くならねばならぬ。デストロンの新しい支配者……いや、宇宙の支配者となる為に」
「判りました」
ナイトスクリームとマスターの後ろを黙々とついて行くスタースクリーム。
彼が何を考えているのか、2人にも誰にも分からなかった。
幾らか年月が経った。
「お前を正式な破壊大帝と認める。――マスターメガトロン」
「身に余る光栄です、我が父君……ガルバトロン様」