ポウ

 薄緑色に輝く球体一つ、宙に浮かんでいた。トランスフォーマー達の祖・プライマスはコードのようなもので、それを包み込む。
 さらにある機体へと運んでいく。機体は水色の水晶が腹部にあり、全身には唐草に似た模様が描かれていた。
……目覚めの時です>
 さらにプライマスは金色の装飾を施したチップを機体に与えた。

キュ、ィン

 紅紫色のアイライトが点いた。
 ぎこちなく体を動かす一体のトランスフォーマー。プライマスの方へゆっくり顔を向ける。
<気分はどうですか?>
わたし、は?」
<貴方の名はベクタープライム。時空監視者です>
ベクター、プライム?」
 唐草模様のトランスフォーマーは確かめるように名前を呟く。背中の剣が光り、彼の目の前に浮かんだ。
…………
<時空監視者は時を見守る者、時を旅する者。そして時の歪みを正す者>
……………
<そのツルギは時空を切り開く力を持っています。ワープ機能もありますが体力の半分以上を使ってしまいます>
時を選べと?」
 プライマスは大きく光を瞬かせた。
<貴方にはタイムリープを備えました。ですが、使い時期は慎重にしてください。時間を動かすその力は貴方の命を削ります>

 ベクタープライムと呼ばれたトランスフォーマーは大きく頷き、剣の柄を握った。
<心して聞くのです、ベクタープライム。貴方には話しておかなくてはなりません>
 元凶なる闇は消えた。だがそれは世界の宇宙のバランスを崩すことに繋がっている。対となる片方が欠ければ亀裂を生じさせる。
 それを止めなくてはならない。何もかもを失わないために。
<時空を旅し、貴方が護りたいと思うものを知りなさい。この世はの流れで出来ているのですから>

 中性的な声は続ける。
は必ず来ますこの宇宙が消えてしまう。ですがそれは未来の事。未来は変えられます私のスパークから造りし鍵これらを集めればは変えられる>
…………
<貴方は時空監視者。時空を旅する者、時空を監視する者、時空の歪みを正す者>
 再びプライマスは言った。

<さあ、行くがいい。訪れしが来るまで>
「仰せのままに我等が創造神、プライマス」
 恭しくベクタープライムは一礼した。そして剣に意識を集中する。剣は淡く光り、ベクタープライムは一線する。白い裂け目ができ、彼はそこに入って行った。

 空間と空間の隙間、時空の割れ目に彼はその身を入れたのだ。
 1体のトランスフォーマーが姿を消すとプライマスはスパークを瞬かせる。
《これで準備は整ったあとは彼らを信じるだけサイバトロン。彼等を……

 消滅出来ぬはずの時空さえ飲み込む巨大な闇。救いし力は4つのかけら。産まれし一人のトランスフォーマーはとなる。

 そう願いつつプライマスは次の行動に移り出した……
 何時の時代も大切なのは、生命という名の灯。

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