ベクタープライムと呼ばれたトランスフォーマーは大きく頷き、剣の柄を握った。
<心して聞くのです、ベクタープライム。貴方には話しておかなくてはなりません>
元凶なる闇は消えた。だがそれは世界の宇宙のバランスを崩すことに繋がっている…。対となる片方が欠ければ“亀裂”を生じさせる。
それを止めなくてはならない。何もかもを失わないために。
<時空を旅し、貴方が護りたいと思うものを知りなさい。この世は“刻”の流れで出来ているのですから>
中性的な声は続ける。
<“刻”は必ず来ます…この宇宙が消えてしまう“刻”も…。ですがそれは未来の事。未来は変えられます…私のスパークから造りし鍵…これらを集めれば“刻”は変えられる>
「…………」
<貴方は時空監視者。時空を旅する者、時空を監視する者、時空の歪みを正す者>
再びプライマスは言った。
<さあ、行くがいい。訪れし“刻”が来るまで>
「仰せのままに…我等が創造神、プライマス」
恭しくベクタープライムは一礼した。そして剣に意識を集中する。剣は淡く光り、ベクタープライムは一線する。白い裂け目ができ、彼はそこに入って行った。
空間と空間の隙間、時空の割れ目に彼はその身を入れたのだ。
1体のトランスフォーマーが姿を消すとプライマスはスパークを瞬かせる。
《これで準備は整った…あとは彼らを信じるだけ…サイバトロン。彼等を……》
消滅出来ぬはずの“時空”さえ飲み込む巨大な闇。救いし力は4つのかけら。産まれし一人のトランスフォーマーは“鍵”となる。
そう願いつつプライマスは次の行動に移り出した……。
何時の時代も大切なのは、生命という名の灯。