「こ、ンボイ司令…官…ッ!」
 離そうとしないのは何故なのか。このままでは攻撃してしまう。
 抱き締められている為、押し返すこともできない。
「私はっ…仲間を…貴方を、傷つけたくありません…っ!!」
 激痛を堪えながら「離れて下さい」と訴えるインフェルノ。
 グランドコンボイは彼と目線を合わせる。
 口を覆うマスクをしまうと、――口付けた。
「ふっ…んぅ…」
 体の震えも痛みも一瞬にして納まった。
 数秒がすぎ、その間にグランドコンボイはゆっくりと抱き締めていた腕を離し、インフェルノをベッドへ横に倒す。
 インフェルノを寝かせ、グランドコンボイが覆いかぶさるような体制となり、口をはなす。
「落ち着いたか?」
「…はい」
 額に口付けるとグランドコンボイは体を起こしてベッドへ軽く腰掛ける。
「ゆっくり休むといい。明日はキッカー達とここの見張りを頼む」
「…了解」
「―インフェルノ」
「はい」
 グランドコンボイは間をおいて、口を開いた。
「君は――いや、いい。決して無理はするな」
「…はい」
 飲み込んだ言葉をインフェルノは気づいていたが、あえて聞こうとはしなかった。グランドコンボイは再びインフェルノへ口付ける。
 今度はインフェルノも瞼を閉じて応えた。

 

 朝――。
「インフェルノ、調子はどうだ?」
「何も変化なし。良くも悪くもならん」
 キッカーの問いにインフェルノはそう答えた。
 正直に答えていた。
 良く分からない、そういうものだった。
 その日はスプラング達の活躍もあって勝利を納めた。
 だが、何が起きるのか判らない未来に、グランドコンボイ率いる初期チームコンボイメンバーは不安を覚えていた。

 不安は形を成して現実のものとなった―…。

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