じゅパチパチッ

パチパチッ!
 と線香花火はその大きさからは想像できない明かりと音を暗闇に照らし、数十秒後、ぽたりと赤黒い光を地面へ落とした。
 1、2秒点いていた明かりはゆっくりと消えていった。
 それは二度とともることのない輝き。
 無音の空気に地球のそよ風がふき、ミーシャとキッカーの髪をなびかせた。
「美しいだが、寂しさがのこるな」
「ええですが、終わるのにはもってこいですね。派手なもので終わるより、逆に余韻を残してくれますから」
 グランドコンボイとスカイファイヤーはかがめていた腰をぎしっともとに戻した。
……
 普段から無口なインフェルノが何を思ったのかは分からない。だが、少なくとも「寂しさ」は感じていただろう。
「さて、戻って寝るか。二人とも、先に行ってるぞ」
ギィィン、ギィィン。
 ホットショットを先頭に、トランスフォーマー達はミーシャと一緒にその場をはなれた。
 残ったのは、ロードバスターとキッカーだけ。


 
晴れてきた夜空を見上げながら、
「…なあ、相棒」
「なんだ?」
「お前はあの花火をどう思った?」
「あの花火って…線香花火か? そうだな、司令官殿達の言うように綺麗だが…どこか寂しい。自分は儚いと思った」
 激しく燃えたあとは、ぽたりと消えていく…。
 まるで、
「美しいけれど再びその輝きを取り戻す事はない。まるで、命のようだ」
 一度死ねばそれで終わり。人間の命の様だとロードバスターは答えた。
「……そうだな」
 相槌を打ってキッカーは相棒の足にもたれて夜空を見上げた。
 幾つもの命とそれを輝かせる夜の太陽が二人を照らし出していた。

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