「そういう事じゃなくてなぁ…あーくそっ!」
頭部をかきむしる。
仲良くするのは別にかまわない。ただ、無性に腹が立ってつい大声をあげてしまった。
皆がキッカーの相手をしているのは特別な気持ちからではないと分かっていても。
楽しそうに話す、キッカーは見ているだけで満足だが、同時に不快感も湧き上がってくる。
「なんだかお前が楽しそうに話してるとだな…その…」
この気持ちを何と言うか自分は知らない。
「腹が立ってくるんだよ! 悪いか!」
背を向けた相棒を呆気にとられて身動きがとれなかったキッカーは、ハッと気付くと足蹴りした。
ガンッと心地よい音が響くと、声を上げてピョンピョン跳ねるロードバスター。
「ったく、言葉の勉強もしとけ! 要するに嫉妬したんだろ? お前は」
「・・嫉妬?」
焼きもちってコトだよっ、とキッカーは顔を染めてそっぽを向いてしまった。
ロードバスターが嫉妬していたと知り、キッカーは嬉しかった。自身を誰よりも好いているという証拠だから。
照れでそっぽを向いているのだが、怒らせてしまったとロードバスターはガシャと片足を曲げてキッカーの背に自分の高さを合わす。
チームコンボイの中でも大型タイプであるロードバスターは背も高い。足を曲げたところでキッカーは自分の腰ぐらいの高さにしかならない。
「キッカー・・」
あやまろうと顔をうつむかせると急にキッカーが振り向いたので驚いてしまった。
普段熱を持たない部分に温かいソレは逆に熱いくらいだった。
「バーカ」
そう言ってキッカーは走っていった。