海に立つエネルゴンタワー。
―オーシャンシティ。
チームコンボイは地球に戻って来た。
「ここに居たか」
やっぱりな、とスカイファイヤーが現れた。
大空と海原を見ていたキッカーとロードバスターは振り返って彼を見た。
「やっぱり、ってどういう事でありますか?」
ロードバスターが尋ねる。
「なんとなく、ココにいるんじゃないかって思ってな。来てみれば、ビンゴだ」
頭部を掻いていた右手で拳をつくり、親指だけを立てた。
「コントロールルームで終戦パーティをする。あとはお前等だけだ」
新しい太陽も出来、二つの宇宙に平和が訪れた。
ザァン・・
波音と潮風が心地良い。
キッカーはもう少し、ここに居たかったが仲間を待たせるわけにはいかない。
ガシャと副司令官は背を向け、相棒と共に後についていく。
<俺にも特殊能力がついたかな?>
セイバートロン星でスカイファイヤーが言った台詞が頭によぎる。
エネルゴンを感知できるのはトランスフォーマー達の祖が、自分の中に眠る能力(ちから)を引き出したからだ。
トランスフォーマーの、オムニコンではないスカイファイヤーにその特殊能力(チカラ)はないはずだ。
あるとすれば、ボディの色を変えた光によるものだろう。
冗談かとその時は流したが今回は。
「例の、特殊能力か?」
何となしに聞いてみた。
「ん?」
グゥンッ、と赤いバイザーが少年を映す。
「オレとロードバスターがあそこにいるって、直感したのか?」
生命体であるトランスフォーマーは『感じる』ことができる。その為、人間でいうところの『第六感』を少しながら持ちあわせているのだ。
「んー…特殊能力かどうかは知らんが、まあ何となく…な」
前に向き直り先を行く。
ガシャリとロードバスターは片膝を折って、
「なあ、何かあったのか?」
緑の蠍と闘っていた彼には判らない。
ゲシッ、と蹴ろうかとも思ったが止めて後頭部で両指を絡め、歩き出す。
「何でもねーよ」
話したところで何か分かるわけでもない。なら話さずにいればいい。
首を傾げ、慌てて少年を追いかける。
「自分には、話せねーのかよ?!」
「でかい声出してんじゃねぇ!!」
今度は蹴ってやろうとキッカーは思った。
耳につく、相棒の声に。
二人を見てスカイファイヤーはバイザーに隠された細い水色のアイを、アイライトを淡くした。
操作室はパーティ会場に変貌していた。