スパークを回収できたのは奇跡とも言えた。
彼は自分の意志をつらぬいた。
サイバトロンであり続けることを――。
「司令官、書類ここに置いておきますね」
「ああ…」
「司令官殿、追加分であります」
「ああ…」
コントロールルームを出るとホットショットとロードバスターは顔を見合わせた。
パッセージを歩きながら、
「司令官殿、元気がありませんでしたね…」
「仲間がいないのが辛いのは俺達も同じなんだがなあ…司令官はもっと辛いからな」
「?」
「何せ、あいつはコンボイ司令官の恋人だしな」
ルーム内でグランドコンボイは二人が持ってきた書類の山に手もつけず、真っ黒なモニターを見つめ続けていた。
直接、彼の死を見たわけではないが、スパークを見れば、話を聞けば大体想像はつく。
参謀である彼の考えた作戦――最悪とも言い難い結果となった。
手の中で飴の紙袋を弄ぶ。
『貴方を、傷つけたくありません…っ!!』
クシャ。
弄んでいた紙袋を丸める。そして狙いを定め、投げる。
ぼすっと音を立ててゴミは箱の中へ。
シュッ、と書類を手に取り目を通していく。
落ち込んでいる暇はない。サイバトロンのリーダーとして。
彼は戻ってくる。可能性は100パーセント。
それが何時かはわからなくとも。
「