「あなたが心配するほど、彼はもう子供ではない。失礼」
相手に反撃される前に通信を少しばかり、一方的に切る。
子を心配する親の気持ちは分かっているつもりだ。
実の親にそう言っても、自分も同じ気持ちだと心の中では思っている。
幼い頃の彼を知っているから、とは理由には不十分かもしれないが、成長した彼の今までの行動を見れば、なんとなくわかってくる。
血のつながりがなくとも、だ。
もっとも、ロボットと称される自分達に血というものがないため、そんな表現は適切ではないが。
「そんな命令は出していない」
「っもういい! 俺は次のゲートで降りる」
彼はそう言って単独行動をとった。
止めは、しなかった。忠告だけ。
応戦で手一杯というのもあったが、どうせ無駄だろうという気持ちの方が強かった。
仲間の事を考えて行動をおこしているのだ。
無茶はしねぇよ。
そう、彼の目は言っていた。だから放っておいた。
人間でも、立派な戦士である彼を。
昔は「大嫌い」だった者達を「仲間」と認めた彼。
自分の事は今でも「大嫌い」なのだろうか?それを知る術を持たないのは少し悔しい気もするが、なんとなく感じている。自分は彼にとって「大嫌いだけど仲間、特別な者」であることを。
チームの他の誰でもない、この自分が。
“特別な者”だと――。