プレーンプラネットに現れた動物は“フェニックス”と呼ばれる赤い鳥だった。テレパシーでチームコンボイとメガザラックに語りかける。
《仲間への意思、信頼、友情…何よりも“諦め”をせず”死”を乗り越えた。――『戦い』の運命から逃れられなくとも》
『?!』
グランドコンボイとメガザラック以外全員が驚いた。
《グランドコンボイ…貴方は悟りましたね》
「……ええ」
全員がグランドコンボイの顔を見た。
「我々、トランスフォーマーは『戦う為に』“生まれて来た”…」
超技術によって生み出される、超ロボット生命体の遥か彼方の昔には暗闇の歴史が隠れている。もう、誰も知らない、悲しき事実が。
《メガザラックを蘇らせたのはそんな絆を見せてもらった御礼です》
本来、死者を復活させるのは真理に反する。だが、
《彼は瀕死の状態でした。まだ“生きて”いましたから》
そういう理由だった。
「フェニックス…君は何処から来たんだ?」
答えはない。
彼女の存在は伝説なのだ。姿を見た者は今現在一人さえいない。
植物以外の生体反応が彼女だとすると、動物の連鎖過程が多いに狂っている。ならば彼女は別の場所から来たと考えるのが自然だ。
《……私は生命の息吹…何処にいるか、何処から来たとかと問われれば、この“宇宙(そら)”に……》
悲しげな黒曜石の瞳は空を、その先の暗闇を仰いでいた。
長い間生き続け、こちらから見れば短い間を生き死ぬ輪廻を見続けるのはとても、儚い。
「…メガザラック、殿…」
「……迷惑をかけたな、ロードバスター」
最後の最後で呟いたのは、真の主の願い。
バサリ、とフェニックスは羽ばたいた。
青空高く舞い上がり、旋回する姿は相変わらず神豪しく美しい。
《私は不死…血を飲めばその者も不死身になる…》
『えっ…?』
「…俺はそんな事、考えた事もないけどな」
《……それで良いのです。運命の輪廻を狂わせてはなりません》
頷くとフェニックスは彼方へと飛んで行った。
不思議な存在だ。彼女は。けれど残して行ったものは大きい。
数日後、植物の惑星にメガザラックは派遣された。
小さく簡素な墓を護る防人として。
時折遊びに来るロードバスターとキッカーのコンビと、他愛のない話をする。それは償いでもあった。土の下に眠る、主君への。
願いは叶った。けれど誰よりも望んでいた主君はこの景色を見られない。
引き換えの代償はあまりに大きかった。
(貴方様の願い…必ずや私が叶えましょうぞ)
二度と、故郷の星達を失わせないと。守り抜くと。
武人は強く誓った。