部屋に戻り、淹れてきたばかりのカプチーノを渡す。
「悪い」
「まだ足りなかったら、持ってきてるから遠慮するなよ」
 自分のも持って、インフェルノの隣に座る。
 数秒間、沈黙が続いた。
「司令官に限って、気持ちが変わることないんじゃないか?」
 俺はゆっくりと口を開いた。
「お前が傍に居るだけで安心なんだよ。きっと。落ち着くから普段気にならないことが気になるんじゃないのか?」
「そうは思えん」
 カプチーノを一口飲んで、インフェルノは続ける。
「私がいるから落ち着くなら、時計や番組など気にしないはずだ。時間が分かっているのだから録画すればいい。生で 見たいならそう言えばいいんだ。ただただ時間を気にしているだけなんてっ…!」
 そう言ってまだ熱いだろうカプチーノを一気に煽る。
 うーわー…ここまで感情的な奴だったか? コイツ。普段はホント、沈着冷静なのに。
 オマケに惚気てるし。
「分からない…」
 つまり、コイツは番組に嫉妬している訳だ。あぁもう、しょんぼりするなよ。くそう、抱き締めてやりてぇ。そんなことはできないが。相手は恋人持ちだ。そして俺は相談役。
 2人が付き合って――今年で4年か。そりゃ不安になるわな。
「…聞いてみたらどうだ?」
「何を?」
 砂糖を食べつつ、尋ねるインフェルノ。…食うなよ。
「好きかどうか。まぁ答えは分かってるけどな」
「……」
「聞くのが怖いのは分かる。けどな、じゃあ何で2人で休日を過ごしてるんだ? 好きじゃなかったらそんなことはしないだろ?」
 スケジュールのこととかもあるだろうけどな。それは言わないでおく。
「なんだったら俺が聞いてもいいし」
「……」
 無言のままインフェルノは砂糖を食べ続ける。――だから食うなよ。エネルギーバランス崩れるぞ。
「…いや。今度俺が直接聞く。悪かったな、ホットショット」
「構わねぇよ」
 一応、解決…したのか? 本当、どうしようもないよな。このカップル。

 

 後日、それはもう幸せオーラ全開でインフェルノが報告しに来てくれた。本人に自覚がない分、余計に分かるんだよなぁ…。
 くそう、司令官がうらやましすぎるっ。…なんか俺、副司令化してんのか?

back