司令室。
「申し訳ありません…。挟み撃ちにしたにもかかわらず…」
「いや、見つけただけでもいいだろう。で、ヤツはデストロンなのか?」
「マントを羽織っていたのでなんとも…ですが、サイバトロンではないようです」
「……ダブルフェイスのような奴では、ないか…」
「…司令官?」
「いや。相手の居場所は特定できるか?」
「ハッ。先ほど話した青年が発信機をつけたと」
「ラディバック…。今日は非番だったな…」
パシュ、とドアが開いた。
「司令官(コマンダー)。話、いいっスか」
例の青年が現れた。
「航空爆撃官もどうぞ。狼の死神、コントロールルームの半径150mをぐるぐる回ってます。発信機が気づかれた様子もないっス」
「…ラディバック。君は相手を知っているのか?」
「さあ。オレ自身、昔は走り屋ってヤツで顔見知り、多すぎて逆に覚えてませんけど、心当たりは。印象的っスからね。名前…確か、“ドゥームウルフ”…」
「“ドゥームウルフ”…」
「まんま、“死の狼”っス。ちなみにヤツは…………デストロンですよ」
ラディバックの一言に、グランドコンボイもウイングセイバーも黙ってしまった。
デストロン――。
破壊大帝はもういない。何の目的で現れた?
なぜメモリーを奪った? それも狙っていたかのように。
「デストロンならば反応があるはずです。…どうしてサーチできなかったのでしょうか?」
「ウム。もしかしたらコントロールコンピューターの修理が完全ではないのかもな。修理班にチェックしてもらうとしよう」
「了解」
敬礼するウイングセイバーとラディバック。
一方、ホットショットの部屋では…。
「――という理由だ。私のこの痛みは、後遺症か?」
訓練場での手ほどき。その時の気持ちをインフェルノは話した。
「後遺症じゃないな、それは」
「なら…」
「…これはお前の失われたメモリーにある。それでも聞きたいなら…話す。言ったろ? お前(インフェルノ)はお前(インフェルノ)だって」
インフェルノは間をおいて、話してくれ、と頼んだ。
ホットショットは望まれるがまま話したが、肝心な所は話さなかった。――彼と、グランドコンボイの関係を。
―心は繋がってる、か―