「ムードも何もないがな。――好きだ」
 きょとんとしている相手にもう一度言う。
「ロードバスター。お前が好きなんだ」
 またアイライトを点滅させている後輩にプッと噴き出す。
「悪かったな。困らせて」
「い、いえ!」
 謝れば否定される。
「自分も・・・自分もあなたが好きであります!」
 抱きしめたくなるが、一応確かめてみる。
「分かってるよな? 俺の言う『好き』は友情でも師弟愛でもねぇぞ?」
「ホットショット殿に好きと言ってもらえて、好きになってもらえて光栄です」
 これは自信を持っていいのか。ホットショットはゆっくりとロードバスターに近づき、彼の手を握った。瞬間彼の顔が赤くなる。
 可愛いなぁ、と。何度も思う。飽きないのだ、この後輩は。
「んじゃ、もう帰るか。そんな長居できねーし」
「はい」
 本当はもう少しいたかったが、このままでは手を握る以上のことをしてしまいそうになる。それはまだ早い。ゆっくり進めていきたい。けれども手を離すにはためらわれ、どちらからも放さない。
「あの」
「ん?」
「少しだけ、歩いて帰りませんか?」
「そうだな」
 答えれば嬉しそうに笑う。
 2体はそのまま公道に出るまでずっと、手を繋いでいた。

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