やっぱりクレアのピーチパイはおいしいや。ヴェイグが絶賛するだけはあるなぁ。パニパニのお茶も貴族の人たちに人気があるくらいおいしいし。ココアも好きなんだけど、わたしはこっちのが好きなんだよね。
 ――半分、ゲーデに持ってもらっても、わたしの中にあるマナはまだじゅうぶんにある。ただ溢れそうで溢れないぎりぎりのライン。これが溢れると神子や精霊でもないのに見れるようになる、ディセンダーの光。
 でも、今はやるべきことをやらなきゃね。


 甲板に出ると、コレっちとカノちゃんにクラトスそれにニアタがいた。
「ローズちゃ〜ん♪ ふべっ!?」
 抱きつこうとしてきたゼロイを避けて、わたしは4人に近づく。
「出かけてたんだね、お帰り」
「ただいま、ローズ! もういいの…?」
 笑顔で答えてくれたあと、カノちゃんは心配そうな顔をする。
「うん。気分がいいんだ」
「よかった〜」
「あ、カノちゃん。コレっち。クレアがピーチパイ焼いてくれたんだ。余ってるから食べて」
「俺さまは無視ですか…」
 女の子2人に言えば、鼻の頭を抑えながらゼロスくんが呟く。
 ああ、なんだろう。凄く落ち着く。
 クラトスとニアタは無表情なんだけれど。ニアタは喋らないと感情が分からないんだけどさ。
 ホールにつながるはしごを降りながら、セルシウスがいなかった事に気づく。まあ、彼女はラースと話してるのかも。

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