「え、じゃあ精霊って人間じゃ喚(よ)びだせないの?」
「ハロルド達の話によればな。マナと最も近いために、魔術を扱えるエルフやハーフエルフでなければ本来は無理だと」
「私達にも魔術を使える方はたくさんいらっしゃいますが…基本的な術式が違うため、だそうです」
「セルシウスが召喚士って呼んだのは、ルナを喚(よ)び出したから?」
「ならば、なぜレスター博士は契約できたんだ? 彼はれっきとした人間だ」
「キール、知らないの?」
「…晶霊(しょうれい)学なら分かるが、精霊学は専門外だ」
「なるほど…体に施した紋様が、精霊との波長を合わせているのね」
「時間はかかってしまったがな。どうにも頭の固い学者連中には、私の研究は意味の無いものだと早々に切り捨ててしまうようだ」
「自分の専門外にまで費やす余裕がないからでしょーよ。発想も柔軟さも持ち合わせてない奴らなんてごろごろいるわ。でも、そういうやつらをあっ! と言わせるのがまた楽しいんだけどね♪」
「エルフやハーフエルフでしか契約できないとされた精霊達と契約している人間、か…」
「あらま」
「り、リフィル?」
「おもしろい! ペナントで描かれた紋様による術式で契約。それもすでに成功しているとなれば他の精霊の場所も分かるというものだ。そしてさらには精霊自体の研究も進められる!」
「な、なんだ…?」
「遺跡モードとやらがどうやら発動してしまったようですね。ご苦労様です」
「さあ! さっそくその研究成果を事細かに話してもらおうか!!」
「…リフィ、暴走しちゃったね」
「姉さんのは誰にも止められないよ…」
「クラースさんの脱出率…かぎりなくゼロ…」