「癒しの光、我が呼び声に応えよ、ルナ!」
「飛燕連脚!」
ルナの光に包まれ、会長の脚技が連打する。それでも次々と沸いてくるモンスターたち。
「はあっ! これで決めるっ、これがディセンダーの力よ…!!」
何度目かも分からない戦闘で、わたしは秘奥義を使い体勢を整える。
「っく…!」
う、ちょっと無理しちゃったかも。回気功で会長が回復してくれるも、立ってるのがやっと。
「マナの過剰摂取だからな…。本当は連れて来たくなかったのだが」
「いいよ、ラース。負を変えるのはわたしの役目だし」
「我々も何かできればよかったのだがな…すまない」
会長の言葉に顔を横に振る。2人は2人にしかできないことをしてもらってるんだし、謝ることなんて何もない。
『負』(かれ)らを助けるのが目的であって、それはディセンダーであるわたしにしかできない。
…それは違うかな。ちょっとよく分かんなくなってきちゃった。
「…ディセンダー。現れたぞ、『負』のかたまり」
ふらつく身体を叱咤させて、なんとか踏ん張りゲーデの指差す方向を見る。
黒い渦が形を作り出す。もやみたいなものがまとわりついているそれは、かつてのゲーデだった。
「俺、だと…?」
ゲーデというより、『無関心の負』に取り込まれたゲーデ。エクスデゥナ、だったかな。
「巨体な…あれを倒さなくてはいけないというのか」
「そればかりか、周りのリターナー達を攻撃しなくてはならない。万事休すといったところか」
召還には時間がいる、とラースがこぼす。わたし、会長、ゲーデで時間を稼げるかもしれないけれど体力の限界が来てるから、どうなるかが分からない。
「…ゲーデ、あのエクスデゥナが『負』のかたまりなんだよね?」
「そうだ。形をとれるほどにまで膨れ上がったからな。並大抵ではいかないだろう」
なんとなく、戦いながら感じていた。
大量の『負』が叫んでる、泣いてる、求めてる。
なら、きっとこれで終わるんだ。
「ディセンダー?」
わたしは剣をしまって、ゆっくりとエクスデゥナに近づいていく。
ワイトもリターナーも、攻撃しようとしない。
すっ、と右手を上げて集中する。
「この光は!?」
「マナ…! 大量のマナの光だ!」
ん、ちょっと左手も使わないとつらい、か。
「っディセンダアアァァ!!」
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