「あなたからとは珍しいですね」
チャットの淡々とした口調は本当、実年齢を忘れさせる。外見は年相応なんだけれど。
「でも、一応仕様としてあなたは強制になりますよ?」
「かまわない。むしろその方が好都合だし」
「まあ深くは聞きませんけど。言葉は悪いですが、強制メンバーはいますか?」
バンエルティア号の所有の証、額のレンズを光らせながら聞いてくる。半分、隠れてはいるんだけどね。
「クラトスとロイド。というより、わたし含めて3人パーティでお願い」
「…? あなたからの依頼、誰が受け持つんです?」
依頼人の私は受けることはできない。いくら強制でも。
「あ〜…じゃあちょっと掛け合ってくる」
受けてくれそうな人と言ったらカノンノだなぁ。他はちょっと忙しそうにしてるし…。
『新しい記憶』で分かったこと。
あの2人の関係。未だに名前で呼んだり突っかかったりするということは、まだ打ち明けていない証拠だ。
記憶のことを話した時もつまってたから間違いない。
カノンノとパニールも乗り越えたんだから、今度はそっちの番だよって言わなきゃ。
正直に伝えたところではぐらかされるのが見えているから、せめてこの『記憶』にそったやり方を取る。
なんとなくだけど、人の気配を感じて振り返るも誰もいない。船内は足音はするけど、話し声で隠れることもある。
誰が後をついてきているかなんて分かってるけど、あえて無視する。
「うーん…」
手続きを済ませたものの、どうするべきか悩むところ。あ、場所指定してたっけ? ついさっきの事なのに忘れてるよ。
誰にも話していない『新しい記憶』。ニアタには話したほうが良かったかもしれない。これも含めて相談するべきか。
今はダメだけど。
ショップで回復アイテムと食材を買っていると呼び出しがかかった。どうやら依頼を受けてくれる人がいたようだ。
あれ、わたしまだ掛け合ってないよ?
『ローズからの依頼
ローズさんこと、イード・ローゼスさんからの依頼です。
場所は粘菌の巣。なお以下の方々は強制となります。
ロイド・アーヴィング、クラトス・アウリオン
詳細は着いてから話すとの事です』
「……」
「同行者はローズさんです。報酬はお聞きしますか?」
「いや、いい」
「ではお気をつけて」
To be Episode.6
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