棄(す)てた街の地下街、さらに深い場所に隠されたデータベース。
巨大な土星・ギガロニアの過去がここに記されている。――真実の事実が。
「…掟に逆らう必要もなくなったんだがなぁ」
フォースチップの一つを探す為に捨てた街を訪れたが、今はそうする必要がないのだ。
元凶のグランドブラックホールは消え去ったのだから。
しかし、今日は違った。どうしても確かめておかなくてはならない事がある。
ギガロニアのリーダーや彼に関する親しい者達のみが知る事のできる、閉ざされたデータを。
「ま、仕方ないか」
頼まれ事であったのだが、自分自身でもメモリーの確認をしておきたかったのでちょうどよかった。
データベースのメモリー記憶装置へMOディスクに似たものを差し込む。
カタカタとパネルを押していき、この巨体よりもさらに巨大なモニターに映像が映される。
鮮明に流れ出す画像は、機械だらけで少しばかり欠けた、戦争真っ只中のセイバートロン星だった。
星と星との橋を架け終えたメガロコンボイに下された最初の、命令。
「君なら、知っているような気がしてな」
総司令官は苦笑まじりに見上げてきた。彼はセイバートロン星出身のセイバートロン星育ちで、このサイズでも大きい方なのだと聞かされた。
先祖あたりがセイバートロン星出身でありながら、他の惑星にいたトランスフォーマー達はあまり似ていない。
それぞれの星に適した進化をしたらしい。
巨体になったように、そして小人になったように。
「ホップ達から聞いていないのか?」
自分達のように彼等はマイクロン達の言葉を解する事は余りできない。同じように話せる、それもマイクロン(本人)から聞いた方がはやいのではないか。
「教えてもらったさ。しかし思い出したんだ。私が聞いた話とは大分違っていると云うことに」
前総司令官から、と現総司令官は言った。
「…わかった。ちっと調べて来る。何か用があったらあいつらに頼め。腕は俺が保障する」
朗らかに笑って、帰星した。
どれくらい前だろうか。リーダー格なら誰もが知っている事実は。
「…なんだ、コイツは」
バイクに変形し、電脳空間を伝ってバグを起こす、紫色のロボット。白い顔と黒い顔によって胸のエンブレムが変わる。
「ちっ、思い出せ…!」
以前にも似た奴がいた。謎の惑星から襲撃してきた者の生き残りだと言う奴らに。
このデータはマイクロン達の過去だ。『ギガロニア』の過去ではない。
では、何故? 似たような奴がいる?