託された“鍵”(キー)。その封じられた力は絶対。
 覚悟はしていた。その名を受けたときから。
 来たざる未来を救う為に。

 さっと左腕をかかげ、ローターを高速回転させる。
 グギャと鈍い音がして、襲いかかってきた相手は弾き飛ばされ大きく背中を打つ。そこに卵型カプセルを投げつけ、終了。
 対モンスター…そう呼ばれるデストロン達を封じ込める為の専用ポッド。それを使うことを許されたのはたった2人。
 地球へと派遣されたモンスターハンターと呼ばれる戦士。
 元々、派遣へは1人だけの予定であった。しかし予想以上に増え続けるモンスター達に人手が足りない、と人数を増やすこととなった。だが、選ばれたのはたった1人。その1人との仲を危惧した者もいるが、彼は何も気にしなかった。
「不思議な奴だな。俺を拒まないなんて」
「僕はもっと不思議な存在を知っている。何より、種族が違うだけで拒むなんて失礼に値する」
 そう言って彼――ライブコンボイは苦笑した。
「オートボルト。君が忘れたいなら僕は何も言わない。だけどこれだけは胸に刻んでおいてくれ」
「…なんだ?」
「君は僕の大切なパートナーであり、親友だ」
 今度はにっこりと笑い、ライブコンボイは言葉を繋ぐ。
「ハーフだろうと僕は気にしないよ」
 オーロラ輝く星空に、オートボルトはバイザー越しに目(アイ)を細めた。

 北の地を選んだのは、人間が近づきにくく通常のトランスフォーマーならば動きが鈍ってしまい、最悪氷漬けになってしまう。そうそうたどり着けないからだ。
 クレバスの中でも深いところを選び、封印する。
「これでよし…。地球デストロン達も閉じ込めたし、どうしようか?」
「どうするかって? そんなの決まってるじゃないかよ…」
 忘れたのか? そう口にはせずアイを見るオートボルト。
「封印し忘れたデストロンがいないかどうか見て周り、いなければ眠りにつく…だろ?」
「そうだね…」
 空を仰ぎ、ライブコンボイは呟いた。そのアイはどこか悲しそうだった。

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