夜――。
グランドコンボイはインフェルノの部屋に向かっていた。
どうしてこんな事になってしまったのか?
苦しむインフェルノを見ているのはつらい。だが、それは彼が楽になるのを拒んでいるから。
楽になった時、彼は敵になる。
そうなったら…。
拳を握り、グランドコンボイはそれ以上考えなかった。考えを打ち消した。
部屋の前に来ると、部屋は静かだった。寝ているのかと、ドアを叩く。
返事が無い。
立ち去ろうとした時、叫び声が聞こえた。
「インフェルノッ!?」
ドアはキーがかかってなかったのか、すぐに開いた。
中にはベッドに座り体を抱きしめている彼がおり、几帳面な彼がベッドの周りを飴の紙包みを散らかしっぱなしにしていた。
ストレス解消に彼は甘い物を食べたりする。おそらく噛み砕いたりして数は多くなっていったとみられる。
唇を噛み締めつつ、震える体を抱きしめている彼の表情はうつむいていてハッキリとは分からない。だが、苦しんでいる事は判る。
そっと近づき、彼は顔を上げ己を見上げる。そのままゆっくりとグランドコンボイは小刻みに揺れる体を抱き締めた。
「コ、コンボイ司令官ッ…?!」
苦しみよりも驚きの方が大きく、戸惑うインフェルノ。
抱き締めたままグランドコンボイは口を開いた。
「すまない…私がもっと早く、駆けつけていれば…こんなに苦しまずにすんだのに…」
ギュッと力を強める。
「司令官のせいではありません…ナイトスクリームに背中(うしろ)をとられた私のミスです」
気配なく姿が消せるナイトスクリームに、レーザーウェーブへ標準を合わせている時に、剣(クレムゾンブレード)を突きつけられ動きがとれなかった。
そしてエネルゴンの場所を吐かせようとするガルバトロンに、デストロンの刻印を刻み込まれてしまった。
「っぐ…!」
痛みがインフェルノの右肩、そして体全体を襲う。
「インフェルノ…」
抱き締めている腕の力を強くする。
「し…れい…かんっ…! はなれて…離れて下さい! 私は…グアアァァッ!!」
赤のエンブレムが紫のエンブレムに変わったり、戻ったりしてインフェルノはグランドコンボイの腕の中で暴れる。
「アアアァァァッ!!」
それでもグランドコンボイは腕を離さない。暴れるインフェルノを優しく抱き締めたまま。