飛来し続ける“それ”は確かに“鳥”だった。だが、プテラノドンのような恐竜でも、鳩や烏などの類でもなかった。
色は真紅。大きな翼はダチョウのよう。尾は雄の孔雀。
神々しいその姿は見惚れてしまうほどに。
「やろっ!」
ただ一人、飛行能力を持つスカイファイヤーはバーニアの出力を上げた。
スペースシャトルは”鳥”に並ぶ。
くちばしと脚は黄色で、目は漆黒。
美しいと感じる”鳥”にスカイファイヤーは言葉を失った。今まで見て来たどんな動物達よりも、雰囲気が違ったからだ。
羽ばたき、”鳥”はスピードをあげ一本の木に止まった。
影はひざまづいていた腰を上げ、後ろを振り向いた。
全員がロボットモードへ変形し、“鳥”を見上げた。ロードバスターから降りたキッカーも同じく。
太陽のような、真っ赤に燃える炎の体をした、“鳥”――。
誰も、何も言わない。何も言えない。
見取れていたのだ。プレーンプラネットに現れた生命体に。
がしゃ…
木の後ろから、不可解な音がした。緑を基調とし、シャベルカーのような両手を持つ、半透明なクリアットオレンジ色のバイザーを着けたロボットが現れた。
驚くしかなかった。
「メガザラック殿!」
駆け寄り、名を呼ぶロードバスター。
彼は、力尽きたはずでは?と疑問がよぎる。その答えをメガザラックは聞かずとも、口に仕出した。
「そこに止まっている。それが私が復活できた意味」
メガザラックが上を見ると自然と全員がつられて彼の視線の先を見る。
先程まで、追い掛けていた赤い鳥だ。
「彼女によって私は復活する事が出来たのだ」
胸には相変わらず、紫のエンブレムが残っていたが。
何故、あの鳥にはそんな力があるのか?チームコンボイはキッカーを除いて、首を傾げた。
鳥は逃げ出さず、じっとロボットと少年を見続けていた。
「……フェニックス……」
『え?』
ぼそりとキッカーは呟いた。瞬間、鳥は彼等の目の前に浮かんだ。
命あるものは何時か死に、新たな生を産む。輪廻という宇宙の真理にかなって。
《貴方方はとても大切なものを手にしています》
ふいに、透き通るような声がした。
《これは私からの御礼です。久方ぶりに出会えた者達への》
優しい女性の声。だが、姿は見えない……いや目の前に居た。
「…君が?」
キッカーは疑問に思いつつ問うた。
“彼女”は頭を軽く下げた。
《私はキッカー。貴方に言わせれば“フェニックス”と呼ばれる存在…》
雄々しくけれど美麗な“鳥”はそう言った。