1週間後。
M63D59ポイントに狼の死神と彼を囲むようにチームコンボイがいた。
「ドゥームウルフ! 逃げ場はないぞ! メモリーを返してもらおう!」
グランドコンボイが大声を上げ、その隣にインフェルノもいる。
「メモリー?」
「とぼけるなっ!インフェルノ殿から奪ったメモリーだ!」
ロードバスターも声を上げる。
どこから取り出したか、手錠を手にしたスカイファイヤーが
「返さないなら力づくでも取り返す! お前を逮捕してなぁ!!」
と言った。
「何の目的か知らないが、仲間の大切なリメンバーメモリー(思い出)、返してもらうぜ」
ホットショットは落ち着いた声で言う。
「フ…おたくらが言うのは、コレか?」
狼は左前足を上げて裏返すと、正方形型の小さなチップが表れた。
「返してもらう」
冷静な声でラディバックが1歩前に出ると、ニヤ、と狼は不敵な笑みを浮かべる。
「てんとう虫が、オオカミを捕まえられるものか。最も…サイバトロンに捕まる我ではないがな」
ドゥームウルフは空を見上げる。そこには旋回をし続けるウイングセイバーがいた。
「トランスフォーム! ハッ」
ブオォッ
変形し、ドゥームウルフは手にした巨大鎌を一振りした。途端、突風が起きウイングセイバーはバランスを崩す。
「ま、待て!」
突風でつぶっていた瞼を開けると、ドゥームウルフの姿はなかった。
ポイントから外れの方に、グランドコンボイとインフェルノ、ウイングセイバーは向かった。
他のメンバーは2手に別れて別の場所で捜索中だ。
「司令官、今黒い影のようなものが動いたようです」
「ヤツかもしれんな…」
「上空から、偵察してみます」
「気づかれないようにな」
「了解!」
ゴウッとウイングセイバーは飛んで行った。ビークルモードとは云え、突風であおられればひとたまりもない。残されたグランドコンボイとインフェルノは立ち止まり、ウイングセイバーの報告を待つことにした。
15分ほど経った頃。
「グランドコンボイ総司令官…」
「ん?」
「少し…任務とは関係ないのですが…」
申し訳なさげにインフェルノは切り出した。
「なんだ?」
顔を少しうつむかせていたインフェルノは正面を向くと、物陰に移動した。グランドコンボイも後に続く。
背を向けたまま記憶を失くした防衛参謀は話し出した。