「メモリーブロックを失った私は貴方が誰で、自分自身の事さえ判らなかった…。なのに貴方は入院中毎日私の病室に来てくださった…。総司令官という忙しい立場でありながら…」
インフェルノの背を見ながら、グランドコンボイは何も言わない。
「私はいつしか貴方を意識し始めました…司令とか仲間とかそういった気持ちはもちろん…もっと特別な…。ホットショットに相談したところ…わかりました。私の胸の痛み…」
「インフェルノ…」
「…コンボイ司令官、私は…」
ドオォォンッ!!
爆風が2人の髪が揺らす。同時に
<司令官! ドゥームウルフを見つけました! 大至急、来てください!>
ウイングセイバーからの通信。
「わかった。すぐ行く! …すまない、インフェルノ」
グランドコンボイは申し訳なさそうに謝った。
「いいえ。それより、急ぎましょう」
「ああ…」
彼が言いかけた事。グランドコンボイには判っていた。いや、判らざるおえない。
記憶をなくしても彼は自分に…自分を…。
飛び回るステルス機にめがけて放たれる弾。
雄叫び。銃声。
バシュッ!
「アデッ」
1発、ドゥームウルフに当たり、彼は情けない声を出す。
撃ったのはグランドコンボイと共に駆けつけたインフェルノだ。
現場には別の場所を捜索していたメンバーがすでに到着していた。
「オレは虫じゃない…そしてお前も狼ではない…」
ラディバックが銃を構える。
「俺達はトランスフォーマー…サイバトロンとデストロンだ」
ビュッ
弾が放たれる。
ドゥームウルフは避けたが、その場にいたメンバー――ウイングセイバー、スカイファイヤーに上空から。ロードバスター、ホットショットに地上から攻撃され、ちょうどグランドコンボイの間合いに入ってしまい撃たれた。
逃げられないようスカイファイヤーが手錠を死神の片手にかける。
「さあ、話してもらおうか」
何故インフェルノのメモリーを奪ったのか? 何の目的でこんな行動を起こしたのか?
「ふん…」