ヴゥンッ
ゆっくりと瞼を上げるインフェルノ。
「…今日までの事、忘れたければ消去(デリート)するが…?」
グランドコンボイの言葉に、インフェルノは彼の腕の中で軽く頭を左右に振った。
「未来は過去からしか生まれてきません。…嬉しかったです、コンボイ司令官」
フ…と微笑むとグランドコンボイは抱きしめていた腕を離し、彼の顎に手をやり上を向かせる。
瞼を閉じながら、どちらからともなく口づけた。
軽く触れ、再び少し長く、何度も触れ合う…。
陽が暮れて、西日が2人を照らしていた。
「インフェルノ、もう1人にはさせない」
「コンボイ司令官…」
ギュッとインフェルノを抱きしめるグランドコンボイ。
そっと彼の左手を取り、薬指に銀の指輪をはめた。
「地球式で申し訳ないが…」
顔をほんのり染めながらインフェルノは首を振った。
「我々の第2の故郷です…地球(あそこ)は」
左手薬指の指輪が夕日で朱色に光っていた。
――エンゲージリング。未来も貴方と一緒にいられますように……。
2人がコントロールルームに戻ってきたのは、すでに陽が落ちて夜になった頃だった。
「遅いですよー司令官! 折角、パーティの準備してたのに料理が冷めちゃったじゃないですか!」
不満そうな顔でスカイファイヤーは言った。
「すまない。少し込み入った話をしていたのでな。ところで、ラディバックの姿が見えないが…?」
「彼なら散歩してくると言って外出しましたよ」
ホットショットが答える。
「やれやれ…ドゥームウルフが狼の死神なら、ヤツは1匹狼だな…」
あまりメンバーと深入りせず、単独行動を好むところが。