翌日、門にいるはずの戦車に事情を説明して一旦離れてもらい、約束の時間30分前で愛銃を調整したり、構えたりして暇をもて余す。
 十分前に、ロードバスターが姿を現した。ご丁寧に走ってくる。
「おいおい、これから出かけるのにもう息切れか?」
「大丈、夫です!」
 訓練生ならではの意気込みに「よし」と言えばホットショットは変形した。
「トランスフォーム」
 同じようにロードバスターも変形しエンジンをかける。
 行動を走り続け、約2時間後。
 2体は荒れ道を走り、洞窟へと入って行った。
 洞窟内部は地球のものとは全く別の素材で基地のようになっており、奥に来た所でホットショットは変形した。続いてロードバスターも変形する。
「ホットショット殿。ここは・・・?」
「俺っつーか俺達が地球に来たときの場所だ」
 10年くらい前になるかな、と辺りを見回す。
「たまにここに来てメンテナンスをするんだ。意味はないけどな。ここに、ここの記録を見返すんだよ。復習みたいなものだな」
「どうして自分に案内してくれたのでありますか?」
 巨大モニターのコンソールをなぞりながら
「お前にも知って欲しいと思ったからさ。地球人と、デストロンのこと」
 長年の戦いから、サイバトロン内のデストロンへの偏見は多い。彼も、何かと門番へ突っかかる。そしてまた、デストロン全員がサイバトロンに賛成しているわけではない。
 ある犠牲者の功績を、知る者は少ない。
「ゆっくり学べばいい。俺もお前と同じような時期があったからな」
 それを話すにはまだ早く、気も起こらない。
「ま、それだけじゃないけどな」
 今日の目的は此処に来てデータを見せることではない。
 ホットショットは一息ついた。
「え、違うんですか?」
 アイを点けたり消したりするロードバスターに微笑む。
「単なる後輩じゃ、連れてこねーよ」
 一歩、ロードバスターの前に進み立ちホットショットは口を開いた。

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