アドリビトムの数人がいなくなるという事件。ただでさえ人が多いうえに、全員で、ということが少ないから誰がいなくなったっていうのが把握できていない。
依頼をこなしていたりしたら、いなくても不思議じゃないのだから。
いなくなった人たちを探しには行きたいけれど、誰がどこに行ったかなんてわかるはずもないから、他のクエストをこなそうと依頼の束を見ていた。
「『ゴールデンビクトリー』…?」
米印はまあいいや。どうせ連れ戻さなきゃいけないんだし、甲板の騒がしさが同じなら。チャットがはあとため息をついた。
そういえば、イリアとルカがいないって言ってたなぁ。よしっ。
アメールの洞窟に行けば、なんてことはないというか…ルカってやっぱり女の子っぽいんだね。
ロイドくんが聞いたら怒るだろうなぁ、人気云々。
準備ができて二人に接近したところで、一瞬だけゼロスくんがこちらを見た。ちょっと気になったけど、集中しなきゃ。
――事が終わればあっさりとしたもの。
梯子を降りようとしたところで、ゼロスくんがわたしを呼んだ。
「何?」
「この後ヒマ? デートしない?」
いつもの調子で誘う彼にジェイドがやれやれと頭を抱えていた。アレの最中もエステルとルビー、誘ってたものね。
わたしの場合はちょっと違うんだろうけど。
「報告終わってからなら」
戦闘前に見たのはそういうことなんだろうなって。
ショップルームでアイテムの補充をしながら、ゼロスはグレードショップの列を見ながら口にした。
「ローズちゃんはどうしてだか分かる?」
「人気の秘密? ん〜…」
わたしが分かるのは数人程度。その中で絞れば答えは見えてくるけれど、当てはまらないのもいるし。
「フラグ、というか言うのかな。それじゃない?」
「ふーん…」
なんだろう、本当隙がないなぁ。バレて…ないよね?
買い物をすませてわたし達は分かれた。
***
なんか、世界の雰囲気ってこういうものだったかなぁって思い始めた。
2人のコーナー? はどこにでも現れてどうやって持ってきてるのとか、あの黒子たちは誰なのかとか、気にしちゃいけないんだろうな。
ただ、わたしが『新しい記憶』で知った言葉を彼らが口にしているというのが気にならないかと言われれば嘘になるのだけれど。
誰か…クラトスにも言えるはずがない、というよりも彼はここ最近忙しいみたいだし。
で、レーズン火山の山頂に来たんだけどさ。
(蚊帳の外…)
話の場、とはいうけれどこれって完璧ゼロスくんの趣味だよね? ジェイド風に言えば中の人?
流れ的にまた戦闘になるのかな〜と思ってたら、案の定。ただ、話し合いしていた人たちとは違ったからよかったけど。コングとかキツいもの。
ウッドロウ様とフィリアを倒せば、神の試練とか…フィリアは直結しすぎだと思うなぁ。
船に帰るとまた言い合いをするジニとゼロスくん。原因は人気とかじゃないと思うんだけど、まあごまかしてくれたのかな?
ユージーンが問いた答えになんだか聞いちゃいけない言葉をジェイドから聞いた気がする。
なんだかんだで、やっぱり『負』は関係ないんじゃないかなぁ…?