櫻が無限に散っていく異界に通じる場所。この二層目にジェイドとゼロスくんがいる。
ここの敵、やっかいなの多いんだよね。ナイトレイドは追っかけてくるし、ゾンビは術使うわ連打するわ、ストーンシーサーは硬いし…。
「せめてコレっちかクラトス…」
光属性の2人を連れてきたかったなぁ。秘奥義の範囲も広いし。
やっと奥の黄泉の門まで来るとゼロスくんがいた。ジェイドが見えないけどまあいいや。
そう思ったのが甘かった。
「おやぁ、どこに行かれるのですか?」
挟みうちだなんて!
ああ、もう。なんだってのよ、こんな遠くまで。
両方あってるというか、うーん。
ディセンダーとか『負』の影響とか、単なる言い訳にしか聞こえないのはわたしが世界を知らないだけ?
「調査の結果、我々は『負』を要因にした行動ではないと我々は判断しました」
「だからさぁ、これからは俺さま達に主役の座を譲って、もうゆっくりすりゃいいんじゃないか?」
いつもよりノリノリなゼロスくんに、「王道かと思いまして」とか強気なジェイド。
なんだか呆れて何も言う気がしないや。とっとと終わらせたいなぁ…。
「…って、自分の状況わかってんのかぁ?」
呆れ気味にゼロスくんが言ったけど、それはどうだろう。
分かってるのは、わたしが2人を倒さないと行けない事。2人を連れ戻さないといけないこと。
――ロイドくんの言葉を借りるなら、本当“アホ神子”だよね、ゼロスって。ジェイドは――“アホ大佐”でいいや。
***
わたしの見解は間違ってなかった。
それぞれが主張しはじめるし、ジェイドはゼロスくんをからかってるのか苛めてるのか。
「あなたの脳年齢を測る為の記憶力チェックにすぎませんよ。どうやら年相応の知能のようですね。意外な結果でした」
とか…。『新しい記憶』が正しければゼロスくんは頭よかったはずだけど。ちゃんと勉強してたらジニに勝ってたかも。
「あれぇ…、その言い方ってひょっとして俺さまにケンカを売ってたりなんかしちゃったりしてる?」
「ご冗談でしょう。あなたのようなお家柄の人に失礼を働いたり致しませんとも」
その割にはちぐはぐだった気がするのだけれど。
「言葉と態度が全然違うっぽいぜ?」
「ええ、よく誤解される性質でして」
「………」
もう帰っていいかな…。まったく…。
拉致があかないとわたしは構えた。それに気づいて慌てるゼロス。
「うおっ! お、おい、そんなに怒んなよ。怖いだろ」
思ってもないくせに。
「これは失礼。それでは、そろそろ戻りませんか。パパッと」
怒りというものをこれほど感じたことはないわね。
もう1回、秘奥義喰らわせようかしら。
「…だな。こんな所よりあの船の方がずっといいぜ」
だったら来ないでよ。
「んじゃ、パパッと戻るぜ」