夜闇に光る桃色と橙色。
 甲板にはわたししかいない。だから安心して出かけられたのかも。
 とんっ、と2人は着地した。
「お帰り」
「ただいま、ローズ」
「やーっぱりエクスフィアだったぜ。ったく、ゲーデさまさまとはこのことか」
 ぽとぽととズボンのポケットから取り出した色とりどりの鉱石をわたしの手のひらに落とし、ゼロスくんは羽をしまった。
「ゲーデのおかげで何処にあるか分かるんだもん。今度来た時、何かお礼しなくっちゃ」
「コレットちゃんは優しいね〜俺さま惚れちゃいそう♪」
『負』を感じるものだけに意識を集中させて、取り除く。あとはリフィに渡すだけ。
 …ゲーデって、何が好きなんだろう…?


 展望室に行くとリッドがいた。
「あれ、また空を見てたの?」
「ああ、ローズか…。なあ、お前夜に空を見たことがあるか?」
 空を見ることが趣味なリッド。彼がよく見るのは朝から昼にかけてとかだから、夜は珍しい。
「散歩に外に出たりしてるけど…どうして?」
「ん…たまになんだがな。夜にオレンジ色の光を見るんだ」
 オレンジ色…もしかして。
「最初は夕日かと思ったんだけどさ、俺が見たのは星も出てる真夜中なんだ」
「何かは分からないの?」
「ああ。ただ、動いてるのだけは分かってるんだ。飛行機かとも思ったんだが、あれは人工的な光じゃない」
 わ〜、さすがだなぁ。いつも見てるだけあって、そういうのまで分かっちゃうんだ。
「気になったから、望遠鏡で見てみようって?」
「ん。でも、今日はさすがに眠ぃや。お前は? まだ起きてるのか?」
「ううん、もう寝るよ」
 夜に現れるオレンジ色の光。人工物ではない自然のもの。もしかしなくてもそれは…。
 わたしはリッドと分かれて眠りについた。もうこれ以上は無理かもしれない。ただでさえ、鉱石という『負』が出ているのだから。

***

「ゼロスくん、ってまたロイドくんにくっついてるし…」
「ローズちゃんじゃないのよ〜なになに、俺さまの力が必要?」
「だからお前は離れろっての」
 うーん、どうせだからロイドにも来てもらおうかな。
「力ってわけでもないんだけど、話があるんだ。2人とも、粘菌の巣まで付き合ってくれる?」
「ここじゃ話せないのか?」
 じっとゼロスくんを見れば察してくれたのか、
「デートのお誘いとは嬉しいね〜」
 いつもどおりの答えを返してくれた。(こういうのって道化じゃないんだろうか…)

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