鉱山に似てるけれど、あまり人の手が入っていない鉱山。ほんのりと照らす程度のランプが飾られているだけの銀色の壁。
モンスターも出ない、ただ広いここに『負』のかたまっている場所がある。
ただ調査するだけだから、このクエストはわたし1人。それでも誰かいてほしかったなぁ。
「ん…?」
大きく開けた場所に出ると、明らかに作られた巨大な扉が現れた。
左右には装置らしきものがあるけれど、動いていないみたい。
扉はユージーンの背丈よりも高く、門っていう感じ。押しても引いても動かない。こうなったら
「魔神剣・双牙ッ!!」
使ってないみたいだし、いいかなって攻撃するも傷ひとつつかない。頑丈すぎでしょ…。
「責任者でなければ開かないのかもしれませんね…」
「そっか…」
チャットに報告すれば彼女は眉をひそめた。
「あそこの責任者はここのところ姿を表していません。忙しいのかなんなのかは分からないのですが、連絡がとれなければ…」
「連絡、取れそうにないの?」
「そりゃーあそこは超有名大企業の持ち物よ? そうそう簡単にアポ取れると思う〜?」
かつんっ、とハロルドが機関室に降りてきた。
「ハロルドさん、なんなんですか」
あ、ちょっと不機嫌。
「話したらさぁ、リフィル達がなんと! その企業と知り合いだって言うのよ。で、もう外出しちゃったからその知らせにね〜」
「なんで事後承諾なんですかっ!! まったく、リフィルさんは例の遺跡モードとやらですね…頭のいい人なのに…」
ぶつぶついいながらも外出リストにチェックを入れるチャットは偉いなぁ。うん。
「…ローズさん、撫でなくていいです。もう休んでください」
「うん、分かった」
あと1回、彼女の頭を帽子越しに撫でてわたしは機関室を後にした。