大きな音を立てて、攻撃ですらものともしなかった扉が開いた。
「この奥に『負』があるのだな?」
「うん」
レディアントを着たわたしは会長の問いに頷いた。
今回はラースにゲーデも一緒。
「ゲーデ、平気?」
「ふん、俺よりも自分の心配をしたらどうなんだ?」
「大丈夫だよ」
強がる彼にくすりと笑い、わたしは会長のあとをついていく。
これで、あふれ出して迷った『負』は全部のはず。浄化すれば、すべてが終わる。
入り組んでいるように見える道は、案内人がいるからなのか一本道のように思えた。
それでも、気がはやるせいなのか、目的地に着くまでは遠く感じた。
「っ…! この気は…」
「く…禍々(まがまが)しいほどの瘴気(しょうき)だ。間違いなさそうだな」
会長が立ち入り禁止札のかかった柵の前で足を止め、ラースが足を踏ん張るようにして立つ。
流れてくる。微量のマナと、声が。
「この柵の向こうに『負』のかたまりがある。それを浄化することで、終わるだろうな」
ゲーデがこっちを一瞥(いちべつ)したあと、柵を越えて先へと進む。
双剣を握りなおして、わたしも後についていった。ゆっくりと、会長とラースもついてきている事を背中に感じながら。
柵を越えると、広がった空間が現れた。
いびつに掘られたあとがあるけれど、それでも自然な形のまま。ただ、ところどころが光っていてまだ掘りつくされていないんだと教えてくれている。
それが何かは確認したいけど、中心には渦巻いている黒いもの。守るように立つ、リターナーとワイト達。
「モンスターとはな…。いったいどうやって」
「おそらく、『負』がマナを求め彷徨(さまよい)ここへやってきたのだろう。だが、浄化しきれず具現化した、といったところか」
「…会長、ラース。来るよ!」
「…っち!」
リターナー達が両腕を上げて、戦闘開始。ゲーデが説得する暇すら与えなかった。